環境や自然に関わる仕事がしたいと思い、林業の世界へ足を踏み入れました。
出身地の石川県で民間の林業関係の会社に2年間勤めた後、もっと「木を切る」仕事をしたいという思いから岐阜県の森林組合へ転職し、 そこで初めて木を切る作業に携わりました。岐阜で9年間業務に従事し、チェーンソーで木を切る技術を身につけました。
京丹波森林組合との出会いは林業関係の合同就職説明会。 結婚を機に奥さんの出身地、神戸と自分の出身地の中間あたりの関西方面で林業ができるところをさがしたことがきっかけです。
京丹波森林組合は家族で住める寮があるなど、福利厚生が手厚く、受け入れ態勢が整っていたので家族で移住するのに条件がピッタリでした。
やりがいという点では「自分の技術を試せる仕事」に魅力を感じています。
そして危険な仕事なので度胸も必要で、そこが生活の刺激にもなっていますね。
ツルが張り巡って木が見えない、足を踏み入れられないような山でもみんなで頑張って手入れをすると、作業後は見違えるように山の中の環境が整います。 そんな風にはっきり目に見えて自分のやった仕事の結果が出る点もやりがいにつながります。
現在は5 人体制の搬出班の班長を務めています。個人で作業を行うことが多いですが、チームでコミュニケーションを取り協力しながら日々、切り出しや搬出を行っています。
自然の中でのびのびと仕事ができるって他には中々ないことだと思います。たまに鹿に出会うこともありますし。(笑)
自分自身、研修時にチェーンソーで初めて木を切った時、2本続けて倒そうとした方向の真逆に倒れてしまい、みんなに迷惑をかけたことを今でも覚えています。 その時は「受け口を切り込んだらそっちに倒れるやろう」と思っていたが、やはり技術が必要なことを実感しましたね。 それからは周囲の先輩方からも技術指導やフォローを受けて徐々に技術力をつけていきました。
受け口と追い口の切込みが平行にはいるようになるのも難しい技術です。 樹齢50年ほどの高さ30メートルにも育った杉の木を切り倒すのにかかる時間はわずか1分足らず。 木のバランス、生えている地面の状況、枝葉の張り具合、周囲の木の位置関係を見極めて倒す方向を決め、受け口を切り込む。 倒す方向も次の搬出工程がスムーズに進むように計算して倒しています。
今の班員にも未経験からスタートして重機の免許を取り、バリバリと活躍しているメンバーがいます。やはり努力と成長は比例しますね。
やはり他の仕事と比べて危険が多いと思います。実際チェーンソーで足を怪我したこともありますし。装備を整え安全第一に気を付けて作業をしていても想定外の事が起きることもあります。
また、自然を相手にしているので天候に左右されることも多く、どうしても休まざるを得ないときもあり想定通りに作業が進まないときもあります。そういう時は天気予報をみて、雨でもできる重機作業をその時に充てるように計画を立てて効率化を図っています。
「仕事」の一言ですが、仕事が生きがいにつながる。ただこなすだけの仕事ではなく、やりがいを心から感じ、誇りを持って仕事に携わっています。
今搬出している木材も京丹波町の新庁舎建設に活用される予定になっていますし、「お父さんが切った木で建ってるんやで」って自分の子どもたちにも自慢できる仕事です。
山に入って仕事することは確かに体力の必要なこともありますが、頭を使い、いかに体に負担をかけず楽に、一日の目標範囲を達成させるかを考えます。 そのための段取りや人員配置を考えること、チームでいかに安全に作業ができるかを頭で考えて実行する仕事でもあります。
チェーンソーの技術・資格以外にも林業重機を操作する資格を習得でき自分自身の技術と成長が体感できます。 仕事後の山は自分の仕事が見える。仕事をしたぞ!という達成感と成果が目に見えてわかる生きがいにつながる仕事です。